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今日の KARA (カラ)

今後の展望と見通し

4月28日の劇的な合意から1週間以上経ちました。スンヨン・ニコル・ジヨンの3人側が無条件で訴訟を取り下げて、KARAのファンにとってはずいぶん肩の荷が降りたことと思います。しかしながら、所属事務所のDSP側と3人側でどのような合意や和解がなされたのかは未だ詳らかになっていません。韓国でも今まで合意や和解の内容に関する報道がなされた形跡はありません。そこで、今回の騒動が勃発した1月19日から1週間あまり経過した1月25日に3人側からDSP側に通達された要求事項を振り返りながら、今後のKARAの活動に関する展望を述べていきたいと思います。なお、言わずもがなですが、あくまで個人的な見解ですので、事実と異なる可能性があります。あらかじめご承知おきください。

まず最初に、1月25日に3人側からDSPに通達された要求事項をおさらいしておきましょう。

(1) 5人のカラが継続して活動し、(契約事項に対する法律的判断を留保して)既に契約済のスケジュールを完遂するために双方ともに協力する
(2) DSPとメンバー達の間の信頼関係はひどく毀損されており、信頼を回復できる具体的な解決策を1月27日までにメンバー達に提示する。その内容は以下の事項を含む。
 (a) メンバー達はDSP外のイ・ホヨン社長を信じる。イ・ホヨン社長に直接会い近況を確認できるようにする。
 (b) イ・ホヨン社長復帰時まで経営の空白を防ぐ案
 (c) 信頼性と専門性あるマネジメント専門家の招聘案
 (d) カラマネジメントチーム構成および改善されたCare案
 (e) 約束された精算が行われたことを確認する方法
 (f) DSPDSP Japanに対する説明
(3) メンバー達が解約通知書以前に締結した各種契約書の一切の交付および具体的な業務日程の提示
(4) 精算履行確認のための精算資料の一切の提供
(5) メンバー達の契約期間を2012年8月末(日本専属契約終了時点)で終了する

http://d.hatena.ne.jp/xcorp/20110125/kara

この要求事項に対して、DSP側は即日回答を3人側に通達しました。これもおさらいしておきましょう。

1.
(1) 5人のカラが継続して活動する。
(2) (契約事項に対する法律的判断を留保して)既に契約済のスケジュールを完遂するために双方ともに協力する。


(DSP回答) 上記の内容に対し当社は積極的に同意する立場で何ら異議がありません。


2.
(1) DSPとメンバー達の間の信頼関係はひどく毀損された。
(2) DSPは上の信頼を回復できる具体的な解決策を用意して1月27日までにメンバー達に提示する。その内容は以下の事項を含む。


(DSP回答) 当社は今回のことが当社とメンバー達の間の信頼関係の毀損ではなく、専属契約の不当破棄を勧める背後勢力の懐柔によって発生したことと認識しています。特に、解約通知以後一週間以上今回の事態が継続して事実と違った内容までマスコミに報道されるなど、当社の名誉毀損および国内外の既存契約の不履行による当社およびカラ3人における損害が深刻な状況に達しており、とうていもうこれ以上は耐えることはできない状況であるゆえ、今回の事態の渦中に毀損されたかも知れない信頼関係の回復のための具体案を下記のように提示します。


(a) メンバー達はDSP外のイ・ホヨン社長を信じる。イ・ホヨン社長に直接会い近況を確認できるようにする。


(DSP回答) イ・ホヨン社長は2010年3月に病に臥して以降、現在まで絶対安静が必要な状況が継続しているが、メンバー達が望むのであれば、メンバー達に直接会い近況を確認するようにすることに当社も何ら異議がありません。


(b) イ・ホヨン社長復帰時まで経営の空白を防ぐ案
(c) 信頼性と専門性あるマネジメント専門家の招聘案


(DSP回答) 2010年3月、イ・ホヨン社長の突然の臥病以後早急な回復と復帰を期待しながら、現代表および全職員の協力の下に、今回の事態が発生するまでカラの能力と技量を発揮して活動することができるように最善の努力をつくしてきました。イ・ホヨン社長の空白にもかかわらず、皆の協力を通じて昨年8月頃からカラが日本に進出して大きい成果を上げ、昨年下半期から日本で最高の人気を謳歌することになったのがこれを証明していると考えます。このような成果にもかかわらず、経営の空白および信頼性と専門性が不足するという指摘に対して遺憾だと考えますが、現代表もイ・ホヨン社長に起こった突然の状況の中、他の代案を探すことが出来ない状況で早急な回復を期待して現在まで最善の努力を傾けて会社運営をしてきたことで、この状況が長期化されるということによって会社を運営する適切な代案を模索しているという点を申し上げます。


(d) カラマネジメントチーム構成および改善されたCare案


(DSP回答) 今回の事態発生以降、カラのメンバー達が日本語が可能な専門担当職員、弁護士、会計士など改善されたCare案を要請しており、当社としてはカラのメンバーが快適に活動することができるように支援することが会社にも利益だと認識しており、不便な点に対しては最大限の協力をつくす予定です。日本語が上手な専門担当職員の提供と、必要に応じて、当社顧問弁護士、会計士をカラが積極的に活用することができるように支援します。


(e) 約束された精算が行われたことを確認する方法


(DSP回答) 当社では未成年者のメンバー達の両親に約束された精算が行われてきたことに対する説明、資料提供などをしてきており、両親らが選任した会計士にすべての資料を提供して説明するなど透明な運営をしたと自負しているが、具体的な確認方法に対し再度要請されるので、カラ関連契約書および精算資料に両親のうちどちらか、もしくは各両親が確認して印鑑を押すなどの案を実行する意志があります。


(f) DSPDSP Japanに対する説明


(DSP回答) 当社は専属契約期間中に第三者と間に契約を締結できるところ、DSP Japanは当社と委託契約を締結している現地法人です。所属芸能人らは当社の指示により当社と契約を締結した第三者が企画、製作するビデオアルバムと新しい映像、キャラクター事業、広報、宣伝活動、出演業務および芸能活動に付随するすべての業務に誠実に臨まなければならない義務があります(専属契約第6条)。3人メンバー達が今回送った「今後の国内外の活動に対する協力事項」でもこの点を当然の前提とし、3項で日本での活動時にDSP Japanイ・ジョンスク代表が協力するという点を明示していることもあります。 

 
(3) メンバー達が解約通知書以前に締結した各種契約書の一切の交付および具体的な業務日程の提示
(4) 精算履行確認のための精算資料の一切の提供


(DSP回答) 上の事項はすでに両親と共有していたことで、公正委標準契約書にも明示されている内容で当社は上記の内容に対し何ら異議がありません。 


3.
メンバー達の契約期間は2012.8.末(日本ユニバーサル契約終了時点)で終了するものとする。


(DSP回答) 上記の要求事項は専属契約の核心内容の専属契約期間に関するものであり、芸能産業全般に重大な影響を及ぼしかねない事項であり、当社が一方的に決定できる事案ではないが、復帰後今後協議をしていくことができるという点を申し上げます。

http://d.hatena.ne.jp/xcorp/20110125/kara

3人側の要求事項を整理すると

  • (1) は既存の契約済のスケジュールについては履行するという確認
  • (2) はDSP内部の体制の問題
  • (3), (4)は契約と精算の問題
  • (5) は契約期間の問題

ということになります。

今後のKARAの展望と見通しを考える上で、(5)における合意内容が危急的に重要になります。また(2)についても、(b), (c)項が重要になりますが、DSPの内部体制の問題です。たしかに、イ・ホヨン代表が病に倒れて寝たきりになって、彼の妻が代表に就任し、あれこれやらかしてはいるのですが*1、ここでは置いておきます。これ以外では(3), (4)も重要に思えますが、契約や精算に瑕疵があれば、物的証拠がある上協議するなり裁判するなり方法があるので、それほど重要ではありません。このため、ここからは(5)に絞って述べていきます。

(5) は、日本のユニバーサルシグマとの契約が終了する2012年8月末でDSPとの契約も終了する、という要求です。もしこの要求をDSPが受け入れた場合、来年の夏でDSPからスンヨン・ニコル・ジヨンの3人が離脱することになり、3人が芸能活動を継続するとしても別の芸能事務所に所属することなるのは自明ですから、事実上KARAとしての活動はなくなります。かつてDSPに所属していたSS501も、契約期間が満期終了してもDSPと再契約せずに、メンバーそれぞれが別の芸能事務所と契約したためにSS501としての活動が事実上なくなったのと同じと言えるでしょう。しかし、一旦交わした契約を途中で変更して、契約期間を短縮するというのは、よほどの理由がない限り困難ではないかという見方もできます。今回の騒動の場合、奴隷契約のような長期にわたる一方的な不利益契約という訳でもなく、ドンブリ勘定と巷で噂されるDSPでもそれなりの配分率でギャランティを支払っていた訳ですから、裁判に訴えても勝ち目のない要求とも言えます。

となると、この(5)の要求が受け入れられたのか拒絶されたのかは、今後のKARAの活動状況を見れば自ずと分かるということになります。つまり、KARAが日本での活動をメインにして、韓国であまり活動しなかった場合は、契約期間が短縮されたと見ることができ、日韓両国でバランスよく活動した場合は、契約期間の短縮は拒絶されたと見ることができます。要求が受け入れられた場合、KARAとしての活動期間は1年余りしかないわけで、DSPとしてもこれまでKARAに投資した分を容赦なく回収すると考えられます。このため、韓国よりはギャランティが高額な日本で主要な活動をすることになります。韓国では日本語曲を地上波で放映できないこともあり、韓国でKARAの姿を見る機会はほとんどなくなると言っていいでしょう。また、ユニバーサルシグマ側も契約を継続して投資を回収する予定であったのであれば、なおさら日本での活動がメインになるでしょう。ひょっとしたら、KARAは日本のテレビ番組に出ずっぱりになることも考えられます。
(5)の要求が拒絶されたのであれば、これまでのように日韓両国を行ったり来たりしつつ活動することになるでしょう。投資の回収は契約期間内にできればいいので、韓国でもミニアルバムやフルアルバムが発売されるでしょうし、イベントやテレビ番組への出演もあるでしょう。ギュリ姐の退屈打破DJやハラのSBSドラマ「シティーハンター」出演などのメンバーの個人活動も活発になり、KARAとしても以前と同じような活況と人気を取り戻すことができるでしょう。

したがって、KARAの今後は日韓両国における活動の配分によって占われるものだと言えます。KARAはすでに6月に日本での新曲リリースが予定されていますが、これだけをもってどうこう論じるのは早計に過ぎます。もう少し長い目で日韓両国でのKARAの活動を見守る必要がありそうです。

*1:SS501を担いで英語教材を販売したはいいが大コケとか、妻の身内が経営するkarayaの問題など